たかが便秘と侮るなかれ。
治療すれば生活が快適に!

便秘は病院で診てもらう病気ではないと思っているのでは?
慢性的な便秘は病院で治療できる。かかりつけの医師に相談を。

治れば、気持ちも生活も変わる。
慢性的な便秘は医師に相談を。

毎日するっと出たら、どんなに気持ちいいだろう。少なからずの人が自分は便秘である、または、便秘になりやすいと感じている。しかし、毎朝便がでないからと言って便秘とは限らない。3~4日に1回でもすっきりとした気持ちのよい排便があるならそんなに深刻に考える必要はない。

便秘か否かは排便回数だけの問題ではないのだ。たとえ毎日排便があっても、コロコロと硬い便が少量しかでない、あるいは排便時に苦痛がある、残便感がある、といった症状が続く場合には、病気としての便秘症と、とらえることができる。一度医師に相談したほうがいい。

便秘が病気?
便秘症という、病院で治療すべき病気というのは意外だ。便秘の原因が大腸がんなど、重篤な病気によるものである場合もある。その意味でも便秘は軽視できないのだ。

これまで便秘対策といえば、食物繊維を多く含む野菜や海草を食事に取り入れる、腸の善玉菌を増やすためにヨーグルトなどの摂取を心がける、あるいは便秘治療薬を使うといった、自己判断による手段があった。

食事など生活習慣の改善はとても重要。運動や睡眠も含めて規則正しい毎日を送ることは、便秘を予防する際にもっとも有効だ。

そのうえで市販の便秘薬も適切に使えば問題はない。腸は食べ物の栄養を吸収する大事な器官。そのため腸の健康は全身の調子に影響する。便秘はそれに大きくかかわっているのだ。

健康で快適に暮らすには、便秘にならない生活が大事だ。生活改善を心がけ、それでも改善が見られず、慢性的なものであると思い当たったら医師に相談を。便秘の悩みから解放されることで、毎日が驚くほど快適になることもあるはずだ。

便秘が長く続く場合は、医師に相談しましょう。

便秘症になると体にどんな影響がありますか。

多くの臓器は、多少の疾患があっても自覚症状はない。肝臓や腎臓、膵臓も悪化しないと調子が悪いことがわからない。

でも胃腸は、食べ物がおいしくない、おなかが張るなど不調をダイレクトに感じやすい。肥満も自分でわかる。だからメンタルに影響がでやすい。

便秘になると胃が腸によって押し上げられるため、胃酸が上がって胸やけがする。また食欲不振や腹部の膨満感などが感じられたり、腰痛が起こる人もいる。

これらを毎日感じると、常に気分がすっきりせず、外出ができなくなったり、性的な面でも影響を受けたりすることがある。生活の質(QOL)そのものがトーンダウンするのだ。

人によっては、抑鬱状態に陥ることもある。何年にもわたる慢性的な便秘が治療で治った人がいるが、気分が前向きになって人生が変わったと話していた。便秘はそれだけ生活に大きな影響を及ぼしているのだ。


なぜ、現代は便秘症が増えているのでしょう。

若年層も含めると便秘の最大の原因は食生活の変化だ。脂質が増え食物繊維が減少している。戦争中日本兵が隠れているとき、便の量の多さで敵に発見されたという。

当時日本人の便の量は約400gでアメリカ人よりも圧倒的に多かった。ところが今は100~200g。原因は食物繊維の摂取量が減少したことによる。そして現代はストレス社会。これも便秘になりやすい要素。

腸はストレスの影響を受けやすいためだ。しかし慢性的な便秘のリスクが本格的に高くなるのは高齢になってから。加齢するにつれ便秘に悩む人は増加傾向にある。

年齢を重ねると、特に重要な肛門括約筋や腹筋などのインナーマッスルが弱くなる。しかも腸の蠕動運動も鈍ってくる。適度な運動や睡眠も含め、規則正しい生活をすることが第一だ。

食事は食物繊維を含めて栄養のバランスのよいものを。朝食は腸を目覚めさせる目的もあり、しっかり食べること。また便意があったときには我慢しない。一度我慢すると、次は便がさらに太くならないと便意が起きにくくなる。便秘になるきっかけになるためきをつけよう。


市販の便秘治療薬を服用していますが服用量が増えてしまいました・・・。

先に述べたように、不快な症状が自覚されなければ、3~4日排便がなくても便秘と考えなくてもよい。

ところが毎日出るのが当たり前、出さなければと思い込み過度に市販の便秘薬に頼るようになると、症状が悪化することがある。

たまに便秘治療薬を使うのは問題ない。しかし長期に服用を続けると服用量が増えてしまったり便秘の症状が悪化したりすることがある。

市販の便秘薬の多くは腸を刺激することで便意を促すがこれは刺激が過度に起こっている状態。しかも、耐性や習慣性が起こりやすくなる。

なかには1日400錠飲まないと便意が得られないといった重篤なケースもある。自己判断での連用は避けるべき。市販の便秘治療薬に依存するようになる前に病院に行くのも慢性的な便意を悪化させない手立てのひとつ。

便秘専門医でなく、かかりつけの医師でも相談にのってくれるので一度受診を。


いつのタイミングで受診したらよいですか。

便秘だからといってすぐに病院に行ったほうがいいのだろうか。便秘は生活習慣に大きな影響を受ける。まずは自分のできること、つまり生活習慣を改善する努力をすること。

今まで以上に便秘の改善を頭において食事や睡眠、運動を心がけるだけでも変化がみられるケースは少なくない。その過程で市販の便秘治療薬を使い排便がコントロールできればそれでもかまわない。不快感がなければ気にしすぎず、おおらかに受け止めることも大切。

しかし便秘が原因と思われる不快な症状が2週間以上続き、週に2回以上便秘薬を使う、または飲む量がだんだん増えてきた場合には病院に行くことをすすめる。単なる便秘だと思っていても実は腸の病気が原因で便秘が起こっている場合がある。

便秘のほかに便に血が混じる、最近急に便秘になった、あるいは自分や家族が大腸がん、クローン病、潰瘍性大腸炎などの腸の病気にかかったことがある、といったことに思い当たったらすぐに医師の診断を受ける必要がある。

貧血や急な体重の減少、発熱や関節痛、寝ているときにも腹部に不快を感じる、といった症状が便秘とともにある場合も要注意。たかが便秘と侮ったり、はずかしがったりせずに病院へ。