「おなか」のお話―漆原史彦医師より―
●大腸内視鏡検査は大腸がん死亡率を7割減らせる!Vol.2
New England Journal of Medicineという最も権威のある医学雑誌に、ハーバード大学で研究している西原玲子さんという日本人の方のおもしろい論文が2013年に掲載されました。
タイトルは「Long-Term Colorectal-Cancer Incidence and Mortality after Lower Endoscopy」(2013; 369: 1106-1114/1095-1105)、日本語で言えば「内視鏡検査後の大腸がんの発症率と死亡率の長期間調査」というものです。この研究は看護師などの医療従事者約89000人を対象とし、1988年から2012年という長期間の調査を行った信ぴょう性の高いものです。
この論文の結果ですが、なんと大腸内視鏡検査を受けた人は、受けなかった人より大腸癌による死亡率が68%低かった!さらに直腸やS状結腸といった、肛門に近い側の「遠位大腸」に限ると、死亡率は82%低かった!!という驚くべき結果でした。
(Nishihara R, Wu K, Lochhead P, et al.: Long-Term Colorectal-Cancer Incidence and Mortality after Lower Endoscopy. New England Journal of Medicine 369: 1095-1105, 2013.)
日本でも「大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価」研究(通称「角館study」)が横浜市北部病院消化器センター工藤 進英センター長によって発足されています。
これは秋田県仙北市で毎年便潜血検査を受ける群と、毎年便潜血を受けることに加えて1回の検診大腸内視鏡検査を併用する群で大腸がん死亡率を比較する研究で、2009年の開始以降、今まで全国2位の大腸がん死亡率を誇っていた秋田県がその順位をどんどん下げていっています。
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