「おなか」のお話―漆原史彦医師より―
●あなたの性格は腸内細菌が決めている!?
疲れていたり、とても緊張したり、泣く程悲しかったり、強い怒りを感じた時におなかの痛みと共に下痢をしたり便秘をしたりといった状態は、多くの方が経験していると思います。
このようなストレスという脳からのシグナルは腸の異常という形で現れ、症状の重い方は【過敏性腸症候群】と呼ばれています。
脳と腸は自律神経を通じて私たちが想像する以上に双方向の情報伝達を頻繁に行っているようです。
身体の機能を正常に保っていられるのは脳と腸の相関システムのおかげでもあります。
最近の研究では驚いたことに腸のトラブルや病気が逆に脳に大きな影響を与え、考え方や行動も変化させていくことがわかってきました。
そこで登場するのが腸内細菌です。
腸内細菌のバランスが崩れると悪玉菌の慢性刺激による腸粘膜の炎症が引き起こされます。
傷んだ腸粘膜の感覚神経細胞が出したSOSはルートに沿って脳に送られます。
脳は、このサインの影響を間違いなく受けて行動や性格や考え方を少しずつ変化させていくのではないかと想定されます。
さらに興味深い研究が2つあります。
ひとつは、過敏性腸症候群の患者さんに乳酸菌飲料を飲んで頂くと、腸内細菌のバランスがよくなり意欲が向上し、前向きになるというデータです。
ストレスの元となる脳の扁桃体の働きが抑えられるのではないかと推定されます。
また、無菌の成長初期マウスにバランスよく腸内細菌を投与すると、攻撃性の低下がみられ、おだやかになるという報告もあります。
以上より腸内細菌は脳の発達や行動に関係し、攻撃性の低下と抑うつに関係していることがわかってきました。
腸内細菌は善玉菌・悪玉菌のバランスを整えることが大事です。
やみくもに多量に摂取すればよいというわけではないのです。
(詳しくは前回コラム腸内フローラをご覧下さい。)
下痢・便秘だけでなく、お腹の張りや不快感など気になる症状のある方は、ご相談下さい。
第1・3土曜日 便秘と下痢の特別外来・無痛式大腸内視鏡※ 担当
昭和大学横浜北部病院 消化器センター 漆原 史彦
※いずれも予約制
お問合せ・お申し込みは TEL:0284-70-7177までお電話ください。